暮理独楽@わふー電脳遊戯録

暮理独楽の遊んでいるコンピュータゲームのあれこれを書き散らしていくブログです。

#東亰ザナドゥ 考察#03 時坂洸(コウ)②

東亰ザナドゥの考察記事です。


コウというキャラクター

では、まず主人公のコウというキャラクターを掘り下げて考察をしようと思います。

Broken Soul

コウには、人格がほぼ完全に破綻しているという設定が読みとれます。
彼は、精神に小さくない傷を負っています。10年前にシオリを喪ったためで、彼がまだ正気を保っていられるのは、ひとえにシオリの『嘘』の賜物でしょう。
彼は中学校半ばから、遊びを始め、何にも興味を持てなくなったと回想していますが、これは恐らく『シオリに関する情報の齟齬や矛盾』によって『嘘』が破綻してきた結果で、『本来あるべき』『壊れたコウ』へと修正され始めていたためでしょう。

コウの能力、その源泉

そして、そんなコウの魂が壊れているということは、アクションパートの性能などでこれ以上なく表現されています。

奇怪なソウルデヴァイス

まずひとつは、他ならぬアスカが、コウのソウルデヴァイスの形状に目に見えて驚愕している点です。
アスカはネメシスの執行者です。裏の三大勢力が一、結社ネメシスは、もちろん多数のソウルデヴァイス使いを抱えていることでしょう。そしてアスカは執行者、なかでも若手エースとして、組織の中でもかなりの上位に位置しているはずです。
適格者というものの性質上、少なからぬ割合で一定以上に人格の破綻した人物がネメシスにはいるはずで、そういった彼らのデヴァイスも見慣れているはずの、そんな彼女がコウのデヴァイスの形状に目に見えて驚くということは、コウのそれが尋常でなくおかしい、ということです。
ソウルデヴァイスは「魂の武器」であり「魂のかたち」です。ならば、それがおかしい人物は魂がおかしいということに他なりません。

万色に染まる無色の魂

彼は、すべての属性のマスターコアを使いこなします。作中、彼以外のキャラクターが扱える属性は主副で2種類です。異界に深く関わるアスカとミツキすら例外ではなく、2属性のみしか扱えません。
各々の属性を見る限り、その魂の在り方が属性を選択させていると受け止められます。
(考えるに「焔=情熱」「風=即決力」「霊=理性」「鋼=一貫性」かと感じます。「影」は精神の神秘とかでしょうか?)
また、全属性を扱えるということは裏返せば「属性がない」ことになります。ここから導き出せることは、全属性を扱えるコウの魂には、「魂の在り方がまったくない」ということです。
そして「魂の在り方がない」とは、魂がからっぽであることの現れで、つまり「人格が存在しない」ことに他なりません。

本来のコウ

翻って、彼の中学校時代についての回想についてに戻りますが、その半ば頃で「様々なこと興味が持てなくなった」とあります。そして、それはシオリが喪われた世界の『本来あるべき』『壊れたコウ』に修正され始めたためだと先ほど推理しました。
おそらくは、シオリを喪い本来の世界のコウは、人格そのものが完全に壊れたのでしょう。
故に、『本来の』彼には人格はなく、物語が進み『嘘』の破綻がさらに進行すると、その「属性がない」という属性が顕になってきたのでしょう。それによってコウの人格が変質せず維持されたのは、今度は仲間の存在が支えになったおかげ、と言うのが一因だと思います。
ただこれも一因に過ぎず、結局のところ最大の理由は「それでも目の前にはシオリがいたから」なのかと思います。

シオリ「もうコウちゃんは大丈夫だね」

私がいなくても、仲間がいるから。そう、シオリは思ったのでしょう。いや、きっと違う。消えるしかないシオリには「そう信じるしか選択肢はなかった」。
でもシオリちゃん。それは半分正解だけど、半分はやっぱりきみがいないときっと駄目なんだ。コウが気を張ってこれたのは仲間がいたから以上に、「目の前に護るべききみがいたから」なんだから。
エンディングを見ると、時間が経過して落ち着いたようにも見えるコウですが、それでもシオリがいないと、やはり少しずつ「本来の虚無」に呑みこまれていくような気がします。「自分だけ知らない世界に取り残されて」。
(しかし、人格が破綻した人物は、アルバイトにうつつを抜かさなければいけない、という決まりごとでもあるんですかね?)


――では、③へ――。
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